待機児童数の調査結果について

日本共産党都議団は、都内(区部と多摩地域)の待機児童数の調査結果を発表しました。
国定義の待機児童数は、回答のあった自治体の合計で1,911人でしたが、いわゆる「隠れ待機児童」も含めると18,190人となりました。

★記者会見する日本共産党都議

待機児童数の調査結果について


2020年6月11日
日本共産党東京都議会議員団

 日本共産党都議団は、東京都の区部と多摩の自治体(23区26市3町1村)での今年4月1日時点の待機児童数の調査を行いました。その結果についてお知らせします。

主な結果
10日までに未回答や非公表を除く21区22市3町1村から回答を得ました(一部のみ回答した自治体も含む)。
国定義の待機児童数は、都は速報値で約2,300人と発表しましたが、今回の調査では、回答のあった21区22市3町1村で、1,911人でした。そのうち区部が896人、多摩が1,015人でした。
いわゆる「隠れ待機児童」(区市町村に保育の利用を申し込んでおり、認可保育園等(※)を利用できていないが、国定義の待機児童数に含まれない子ども)の理由別の人数についても調査をしました。人数が分かったのは21区21市3町1村で16,279人、そのうち区部が13,481人、多摩が2,798人でした。
実質的な待機児童数(=区市町村に保育の利用を申し込んでおり、認可保育園等(※)を利用できていない子どもの人数。国定義の待機児童数と「隠れ待機児童」の人数を合わせた人数)は、21区22市3町1村(うち1市は国定義の人数のみ)で18,190人、うち区部が14,377人、多摩が3,813人でした。
前年との比較(全体を比較できる19区21市3町1村のみで比較)では、国定義の待機児童は1,126人の減、「隠れ待機児童」は348人の減、合計で1,474人の減でした。
区市町村別の結果は別表1と別表2のとおりです。
補足:待機児童の定義について
以前は、国が定める待機児童の定義は、区市町村に認可保育園の入園を申し込んで(当時自治体への申し込みとなっていたのは認可保育園のみ)入れなかった子どもというシンプルなものでした。
しかし、2002年に待機児童数を小さく見せるために定義が変更され、認可保育園に入れなくても、認証保育所のように地方自治体が独自に補助している保育施設を利用している場合や、育児休業を延長した場合、求職活動を休止している場合などは待機児童とみなされなくなりました。
そのため、自治体が公表している待機児童数は少ないのに、実際には認可保育園に入るのが困難だという事態が各地で生じるなど、国の定義する待機児童数は実態を正しく反映しないものとなりました。待機児童数から除外された子どもは「隠れ待機児童」と呼ばれています。
その後も国による待機児童の定義の変更はありましたが、大きな変更はなく、保育園に入れなかった子どもでも様々な理由で待機児童数から除外されています。先週小池知事が発表した待機児童数も、国の定義に沿って計算されたものです。
本調査では、実態を正しく反映するため、以前と同様、区市町村に保育の利用を申し込んでおり、認可保育園等を利用できていない子どもの人数を実質的な待機児童数としました(※※)。
なお、小池知事は、昨年4月1日時点での都内の待機児童数について、四半世紀ぶりの水準に達し、3,690名まで減少したと述べてきました。しかしこれは、前述のように、待機児童の定義が四半世紀前と現在とでは全く異なるにもかかわらず、異なる定義での人数を比較したものであり、都民を欺くものです。四半世紀前と同じ定義で計算した昨年4月1日時点の待機児童数は22,884人に上ることを都も認めており、この人数は四半世紀前の約6倍になります。正確な実態を踏まえた待機児童対策を行う必要があります。
※認可保育園、認定こども園、地域型保育事業(小規模保育など)。

※※現在は認可保育園とともに認定こども園や地域型保育事業(小規模保育など)も区市町村に利用を申し込む仕組みとなっているため、2002年までと全く同じ定義ではありません。しかし、少なくとも区市町村に申し込んで入れなかった子どもは待機児童とされるべきであるため、このような定義としました。

待機児童数の調査結果について
★(別表1)区市町村ごとの待機児童の状況
★(別表2)前年度との比較