2020年6月11日
日本共産党東京都議会議員団
日本共産党都議団はこの間、教育費無償や子育て支援の観点から、学校給食費の負担軽減や無償化を求め、条例提案や議会質問をおこなってきましたが、今年度、給食費を値上げする自治体が相次いだことから、改めて、都内公立小中学校の学校給食費の改定や公費補助の状況を調査しました。
調査の結果、19もの区市町村が値上げをしたことが明らかになりました。食材費の高騰などにより献立の工夫も限界になり、値上げを決めています。同時に、給食費の公費補助や無償化をする自治体が増えていることも、改めて明らかになりました。
新型コロナウイルス感染症対策による休校や休業、外出自粛で、経済も家計も大きな打撃をうけている今、給食費の負担軽減の必要性はますます大きくなっています。都内でも狛江市や江戸川区、目黒区が1学期の給食を無償とすることを決めました。
学校給食は学校教育活動の一環であり、食育としても重要ですが、食材費を保護者負担としている限り、負担を抑えれば質を保てない、質を上げれば負担が増すという問題が生じます。東京の子どもたち全員が、安心して質の高い給食を食べられるようにするには、東京都の役割が重要です。
【調査の概要】
調査対象:都内全区市町村(給食のない小笠原村を除く61区市町村)
(*区部と多摩地域は文書による調査。うちコロナ対応で文書回答不可だった渋谷区・杉並区・多摩市と、島しょの8町村は電話で聞き取り)
調 査 日:2020年4月~6月8日
【結果の概要】
1、19自治体(9区8市1町1村)が2020年度に給食費を値上げ
○値上げの理由は12自治体が「食材費の高騰」と回答(複数回答)し、具体的には「(2009年度の前回改定から)食材費が野菜類が34.0%、魚介類が13.9%など上昇した」「献立内容の見直し等、内部努力で運営していたが、難しくなった」などがあげられた。
○保護者負担増を避けるため、「食材費上昇分の半分の約3%の増額改定とした」「値上げ幅を圧縮した」自治体、また公費補助を実施・拡充した自治体もあった。
○足立区は値上げを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行により取りやめた。
2、約半数の32自治体が公費補助を実施し、1町4村は全員無償
○全額無償にしているのは奥多摩、檜原、利島、三宅、御蔵島の1町4村で、檜原村は今年度、三宅村は2019年度から全額補助(公費負担)にした。
○北区は第2子半額、第3子以降の全額補助を今年度から実施、品川区は多子世帯(3人目以降)について全額補助している。
○今年度に公費補助を実施・拡充したのは6自治体(千代田、豊島、北、足立、江戸川、檜原)で、うち5自治体は値上げ(足立は値上げしなかった分を公費負担)も行っており、保護者負担増を抑えようとしていることがうかがえる。
*今回の回答にはないが、世田谷区は2019年度より年収760万円未満世帯の給食費を就学援助費で全額支給、葛飾区も2013年度より第3子の給食費を全額補助している。
3、 学校給食費の公会計化は、16自治体が実施、1自治体が実施予定
○給食費を学校でなく地方自治体が徴収管理する「公会計化」を「している」のは16自治体で、うち5自治体が今年度、1自治体が2019年度、2自治体が2018年度から開始していた。
*公会計化は、教員の負担軽減策の1つとして、中教審が2019年1月に推進を答申。