東京都 知事選にあたってアピールを発表(2):都立病院と保健所のきりすてから

コロナ第2波にそなえ、都立病院と保健所のきりすてから、拡充へと、都政をきりかえよう

2020年6月18日

日本共産党東京都委員会

みなさん。コロナ危機は、長年にわたる自民党・公明党中心の都政が、東京の医療と感染症対策を脆弱(ぜいじゃく)にしてきた問題点を浮き彫りにしました。小池都知事は、それをさらに弱めようとしています。
都立病院、公社病院は、都民の命を守る重要な役割を果たしています。都内の感染症指定医療機関の指定病床数の約7割が都立・公社病院です。今回のコロナ危機でも、感染症病棟をフル稼働させただけでなく、都の要請に応じて感染者受け入れのベッドを増やしました。感染爆発を最前線で食い止めたのが、都立・公社病院です。
都立病院は、石原都政のときに、経済効率優先主義の政策で、16カ所から8カ所に減らされました。小池都知事は、これを反省するどころか、都立・公社病院がコロナ危機と命がけでたたかっているまっただなかの3月31日に、これらを独立行政法人にする方針を決めました。競争と効率重視の新自由主義政策である独立行政法人化は、病院を行政の直接の責任から切り離し、民営化に近づけて、都からの財政支出を削減するのが狙いです。これ自体容認できませんが、よりによって今、このようなことをすることは、とうてい許されません。もっとも頑張ってくれている病院を応援するのが当たり前ではないでしょうか。命の恩人になんてことをするのでしょうか。


小池都政が独立行政法人化の「成功例」として評価している大阪府立病院機構では、自民党府政、「大阪維新の会」の府政のもとで、患者負担を大幅に増やす料金改定がおこなわれ、たとえば差額ベッド代は最大で約6万円に、母子医療センターの分娩(ぶんべん)料は直営時から約2倍値上げされて7月から20万4000円に、セカンドオピニオン料は約3倍の2万2000円に値上げされています。独立行政法人化後10年になる神奈川県立病院機構は、県が財政支援を大幅に減らし、2018年度決算では収支が25億円マイナス、繰越欠損金は94億円を超え、経営が危機的な状態になっています。東京都は、これらの負の教訓から学ぶべきです。

感染症対策を中心任務の一つとしている保健所も、東京全体で1994年には71カ所あったのに、現在では半分以下の31カ所へと削減されています。多摩地域では17カ所からわずか7カ所に減らされました。こんどのコロナ危機で、電話もなかなか通じない事態になり、検査結果も出ないまま命を失う人さえあったのに、小池都知事は、この削減を「保健所の機能強化を図った」と正当化しています。このセリフは、国会での安倍首相の答弁と全く同じです。あまりに無責任です。
経済効率優先で医療や公衆衛生への行政の責任を切り捨てる新自由主義の路線が失敗であったことは、いまや多くの人々が指摘していることです。日本医師会の横倉義武会長は、「感染症が流行したときに対応できる病床を維持しておくべき」「競争や効率重視の新自由主義の影響が医療機関にも及んでいる」と警鐘を鳴らしています。


日本共産党都議団は、6月議会の代表質問で、この横倉会長の言葉を引いて、小池知事の認識を問いましたが、小池知事はこの期に及んでも方針を変えようとしません。

いまこそ、コロナ危機の第2波・第3波に備えるとともに、将来にわたって感染症から都民の命と健康を守ることのできる都政へ、根本的な転換が必要です。
日本共産党は、この立場から、東京都が医療の保障と充実にいっそうの責任をもってとりくむため、都立・公社病院の独立行政法人化方針を撤回するよう、強く求めます。そして、直営を堅持し、医師、看護師、薬剤師等の大幅増員と待遇改善、医療・看護体制強化など、拡充を要求します。あわせて、都が多摩・島しょ地域の公立病院・診療所への支援を拡充するよう求めます。
日本共産党は、保健所が公衆衛生の第一線機関としての役割をはたせるよう、その機能と体制を抜本的に拡充・強化すること、支援を強めることを、緊急の課題として求めます。とくに、対象人口が多い地域や、対象地域の面積が広い保健所は、増設等の対策を講じるよう要求します。削減・廃止された保健所の復活を含む、大幅な増設をめざします。感染症係の医師をはじめ公衆衛生医師を確保する対策を講じるよう求めます。


日本共産党は、この立場から、こんどの都知事選で、都立病院を守り保健所の拡充をと訴える宇都宮けんじさんを、なんとしても都知事に押し上げるため、全力をあげます。